独占インタビュー・阿部勇樹【悲願のタイトルへの決意】
――「”負けた試合”を観なくなった」~経験がもたらした変化
悲願のJ1王者へ。阿部勇樹が10年目にして抱く思い
■「頭の中の映像」で試合を振り返られるようになってきた
阿部 あぁ……、あの頃は、すごく考えるし、落ち込んでた。超、考えていましたね(笑)。以前、これまで負けた試合ばっかり観てたって言っていたじゃないですか。でも、最近は観なくなったんですよ。レッズに移籍してきて、イギリスに行って戻ってきたくらいからは、たまに観るくらいになりました。
――それはなぜですか。
阿部 昔はどこが悪かったのかプレーを見返さないと分からなかった部分が、それをしなくても分かるようになった、というのが大きいかなと思います。自分のプレー、その瞬間、瞬間をしっかり記憶できるようになって、頭の中で整理できるようになった。いまは失点をしてしまったプレーに対して、失点に至るまでに自分がもっとこうしておけばとか、ポジショニングをこっちに取っていればとか、そういうものが頭の中の映像としてみえている。だから自分の頭の中で振り返る、という感じで映像を観る回数はほとんどなくなりました。観るとしたら、ほかの人の試合とかプレーですかね。
――それは対戦相手の分析ですか。それとも海外?
阿部 海外も観ますし、次の対戦相手の試合がやっていたらそれを観たりとかですかね。
――なるほど。負けた試合を観なくなった一方で勝った試合はやっぱり……
阿部 観ないですね(笑)。
――勝った試合やゴールを決めた試合って、やっぱり気持ちいいから観る選手は多いですよね。なぜでしょう。
阿部 別にいいかなって(笑)。だからご飯を食べに行って、もし勝ったり、いい試合をしたりした試合が流れていたら「チャンネル代えてよー」って思います。
――そこは変わらない。
阿部 そう(笑)。
――ふつう見たいと思うんですけどね(笑)。
阿部 前から(勝った試合と負けた試合の)どっちが観たいかって言ったら、負けているほうがみたいって思うタイプですし、でも、それを観ることもなく、部分、部分で覚えているところを反省できる。だから観る回数が減ってきたのかなと思います。